がん検診について

がん検診イメージ

当院では、婦人科がん検診として子宮がんの検診を行っています。子宮がんとは、子宮にできるがんの総称であり、子宮頸がんと子宮体がんがあります。なお当院は、和歌山市・岩出市・紀の川市で実施している子宮頸がん検診の実施医療機関です。これらの地域にお住まいの方は。公費補助のある検査を受けることも可能です。

子宮頸がんについて

子宮頸部に発生するがんです。子宮頸部とは、子宮腔と膣がつながっている部分です。このがんは子宮の入り口付近に発生することが多いことから、観察や検査が行いやすく、他のがん検診では見つけられないような早期の異常を発見できるため、女性にとっては大切な健診です。

発がんには、性交渉により感染するとされるヒトパピローマウイルス(HPV)が関係しており、妊娠・出産回数が多い方ほど発生しやすいといわれています。しかし多くの場合、HPVに感染していても無症状のうちにHPVが排除さ発症には至りません。ただ、このHPVが排除されずに感染が持続するような状態になってしまうと、一部に子宮頸がんの前がん病変や子宮頸がんが発生すると言われています。

症状につきましては、早期ではほとんど現れません。進行すると不正出血やおりもの異常、性交中の出血などが見られるようになります。

子宮頸がん検査について

子宮頸がんの検査では、最初に問診を行います。その際に初潮時の年齢や生理の様子、妊娠・出産経験の有無、月経の状況、自覚症状の有無などについてお聞きします。次に内診で子宮頸部の状態を確認(視診)し、腟鏡を用いて子宮頸部の状態を観察します。
その後、細胞診を行います。細胞診とは子宮頸部の細胞を、専用のブラシ等の器具で採取し、細胞に異常がないかどうかを調べます。痛みはほとんどなく検査は以上で終了です。2週間ほどで検査結果がわかります。

子宮体がんについて

子宮内膜から発生するがんを子宮体がんと言います。そのため子宮内膜がんとも呼ばれています。発がんには女性ホルモン(エストロゲン)が関係しています。

発症の可能性が高いと言われているのが、閉経後の女性です。そのほかにも不妊症、出産経験の無い方、肥満、糖尿病、高血圧の方も危険群です。また月経不順や不妊症の方も排卵回数が少ないことから、子宮体がんを発症する可能性は高くなります。なお、更年期障害の治療でホルモン補充療法を行う場合、エストロゲンに黄体ホルモンを併用することで子宮体がんの発症を増加させない様にします。

閉経後あるいは更年期での不正出血がある場合は注意が必要です。また、閉経前であっても、乳がんを患ったことがある方なども注意が必要です。

子宮体がん検査について

主に子宮内膜細胞診で検査します。子宮内腔に細い棒状の器具を直接挿入して細胞を採取する検査になります。細胞診の結果、疑わしい箇所(疑陽性もしくは陽性)があった場合は、精密検査として組織診が行われます。キューレットという医療器具を子宮の奥に入れて内膜組織をかき取り、顕微鏡で調べます。検査結果については7日ほどでわかります。器具を挿入することが困難な場合は、超音波検査で補助診断することもあります。

卵巣がんについて

卵巣がんとは、卵巣に発生する悪性腫瘍のことです。ただ悪性と言っても、腫瘍の種類や悪性度は様々で、また良性や良性と悪性の中間の腫瘍も含め卵巣にはいろいろな種類の腫瘍が出現します。

初期の頃は自覚症状がほぼないため、発見するのは困難です。そのため、症状がある程度進行してから現れるとされる、腹部の膨満感、下腹部の痛みや圧迫感、下腹部にかたいものが触れたといったことから気づくことが多いようです。

発症する原因は完全に解明されてはいませんが、家族に卵巣がんの方がいる、出産経験がない、子宮内膜症を発症した方などは注意が必要です。あらゆる年齢の女性に発生する可能性を持っていますが、年齢的には50歳前後の患者様が最も多いと言われています。

卵巣がん検査について

子宮がん検診のような確立された方法はありません。卵巣に腫瘍ができると通常より大きくなるため、内診と超音波検査で調べます。腫大が認めれない場合は異常なしと判断します。腫瘤の存在が認められた場合、CT、MRI(画像診断)、腫瘍マーカー検査(採血検査)を実施して、治療の要否を判定します。最終的な診断(良性か悪性か)は手術による摘出腫瘍の病理診断にゆだねられます。