更年期について
生殖期から老年期への移行期で、加齢に伴い性腺機能が衰退し、月経が不順になりやがて停止し閉経を迎えます。我が国の平均閉経年齢は50.5歳で、その前後5年を更年期と呼びます。
更年期の年代になると、女性ホルモンの分泌量が急激に減少していきます。この変化に体が対応しきれなくなることで、様々な不調を招くようになります。ただ、この不調症状というのは個人差が大きく、程度が非常に強い方から全く感じないほど弱い方まで様々です。なかでも日常生活に差し支えるほどの症状が現れたという場合は、更年期障害と診断されます。
更年期障害は心身に多種多様な不調が現れますので、似たような症状の病気を見過ごしがちになります。そのため更年期障害の症状と思っていたら、実は別の病気が体内に潜んでいたという可能性もあります。体調が悪いと感じたら原因をはっきりさせるためにも一度婦人科にご相談ください。
更年期障害の主な症状
- 体の症状
-
- 体が重だるい
- 立くらみ
- 疲れやすい
- 耳鳴り
- のぼせる
- 動悸
- 顔がほてる(ホットフラッシュ)
- 手足の痺れ
- 手足の冷え
- 乳房の痛み
- 大量の汗をかく
- 関節の痛み
- 体の痒み
- むくみ 皮膚や目、口の乾燥
- 肩こり、腰痛
- めまい
- 頭痛、頭重感
- 尿トラブル(頻尿、尿漏れ)
- 性交痛
- 抜け毛・薄毛 など
- 心の症状
-
- イライラ
- 不眠
- 不安
- 情緒不安定
- 意欲の低下 など
検査について
症状などから更年期障害が疑われる場合、女性ホルモンを調べる血液検査を行い診断します。このほか、精神疾患が疑われる場合は心理状態に異常がないかどうかを調べる心理検査を行うこともあります。
治療について
更年期障害と診断された場合、最も多くの患者様に取り入れられている治療法がホルモン補充療法(HRT)です。不足してきた女性ホルモンを、飲み薬や貼り薬によって補充していきます。HRTは、更年期障害以外にも早発閉経、骨粗しょう症、脂質異常症、卵巣摘出で低下したエストロゲンを補うといった場合でも用いられます。
また、漢方薬や向精神薬(抗うつ薬、抗不安薬)あるいはこれらとHRTの併用が有用なこともあります。さらに患者様のお話をお聞きしたうえで、更年期障害を招いているとされる生活習慣があれば、その改善方法についてもアドバイスいたします。